Nickel入門以前

Nickelを開発しているTweagの社員が以下のような入門動画を出していたので、見てみたという日記。言語の包括的な入門では全くないが、ドキュメントの最初に書いてはいない勘所（query の投げ方、動的型検査から静的型検査への切り替え）を説明している。

Nickel 1.0 is out! A tutorial - YouTube

速習Nickel

Nickelは軽量・合成的コード・合成的データ・選択的な型付け・契約による設計という特徴を持つ設定記述言語である。

Nickelはどんな複雑な設定を生成するのにも使えるが、以下のユースケースを特に念頭に置いている。

• Nixパッケージマネージャ
• Infrastructure as Code
• ビルドシステムの依存グラフ

設定

インストールする。使うだけならcargoからインストールするのが一番簡単。lspもついでに入れる。

❯ cargo install nickel-lang nickel-lang-lsp

好きなエディタを設定する。vscodeの場合tweag作のNickel Language Support拡張を入れる。

最初のプログラム

config.ncl で以下のファイルを作成する。

let Schema = {
    foo.bar
      | doc "The `foo.bar` option"
      | String,
} in

{
    foo.bar = "hello, world!",
} | Schema

nickel query でファイルに定義されているフィールドとメタデータを確認できる。また要素を指定することで制約を確認することができる。

❯ nickel query -f config.ncl
Requested metadata were not found for this value.

Available fields
• foo

❯ nickel query -f .\intro\config.ncl foo.bar
• contract: String
• documentation: The foo.bar option

NickelにはREPLがある。また標準ライブラリを表す特殊な値として std があり、これを :query で見ることができる。

❯ nickel repl
nickel> :query std
Requested metadata were not found for this value.

Available fields
• FailWith
• array
• contract
• deep_seq
• deserialize
• enum
• fail_with
• function
• hash
• is_array
• is_bool
• is_enum
• is_function
• is_number
• is_record
• is_string
• number
• record
• seq
• serialize
• string
• to_string
• trace
• typeof

例として array に対して使える高階関数 filter 使い方を調べる時は以下のようにする。

nickel> :query std array
...
• filter
...

nickel> :query std array.filter
• type: forall a. (a -> Bool) -> Array a -> Array a
• documentation

filter f xs returns an array containing all elements from xs that satisfy f.

Examples

std.array.filter (fun x => x <= 3) [ 4, 3, 2, 5, 1 ] =>
  [ 3, 2, 1 ]

以下は std.array.map の引数の適用順序を間違えている例である。

(std.array.map [] (fun x => x + 1))

この状態だとLSPはエラーを出さない。Nickelはデフォルトで動的型検査をしており、引数の型がmapの型に適合するか確認していないからである。

ワイルドカードを使うと、動的型検査から静的型検査に切り替えてくれる。

(std.array.map [] (fun x => x + 1)) : _

queryと静的型検査はコードを書くのに有用な道具立てであることが分かっただろう。

最初に書いたように、Nickelは契約による設計という特徴を備えており、自分の設計したカスタム型で値の内容を検査することができる。これにより、任意のレコードがスキーマ定義に適合しているかの検査を、非常に柔軟に記述することができる。